Top Photo by perfecta / PIXTA
ロカボとは「緩やかな糖質制限」のことで、1食当たり摂取する糖質を20~40g(1日70~130g)程度に抑える食事法のことです。
ロカボは、体への負担が少ないダイエットとして注目されています。
それでは、ロカボ(緩やかな糖質制限)の説明の前に、まずは基本となる糖質について見ていきましょう!
まずは糖質を知ろう
Photo by Fast&Slow / PIXTA
糖の種類
糖質の種類は、おもに単糖類(単純糖質)と多糖類(複合糖質)に分類されます。
単糖類
1個の糖(分子)からなるものを単糖類(単純糖質)といい、ブドウ糖・果糖・ガラクトースなどがこれにあたります。
単糖類(単純糖質)は、これ以上分解することができないので、小腸に行くとすぐに吸収され血糖値を急激にあげてしまいます。
多糖類
2個以上の糖(分子)からなるものを多糖類(複合糖質)といい、でんぷん・デキストリン・グリコーゲンなどがこれにあたります。
多糖類(複合糖質)は、複数の糖が結合してできているので、消化するときにこの鎖を一つずつ切り離して分解するため、消化吸収も血糖値の上昇も緩やかになります。
糖の役割
体内に取り込まれた糖質は速やかに代謝されます。
糖は、最終的にブドウ糖(グルコース)に分解されて、脳をはじめ赤血球や神経細胞などのエネルギー源として利用されます。
糖の摂取量と過剰摂取
糖の摂取量とガイドライン
今の一般的な日本人の食生活では、1日に約300gの糖質を摂取していると言われています。
この点、WHO(世界保健機関)は、1日の糖類(単糖類と二糖類)摂取量の目安について「1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えるべき」というガイドラインを発表(2015年3月4日)しました。 (換算すると、1日の糖質摂取量の目安は25g程度でティースプーン6杯分に相当)
糖の過剰摂取によるリスク
①血糖値の上昇
糖質をとり過ぎると、血液中のブドウ糖が急激に上昇します。
通常であれば、食事をして血糖値が上昇してもすい臓から分泌されるインスリンによって時間とともに血糖値が下がり、血糖値が一定に保たれるようになっていますが、糖質の過剰摂取や血糖値を急上昇させるような食べ方が日常的になると、血糖値がうまく下がらなくなって「食後高血糖」になります
②食後高血糖
血糖値がうまく下がらない状態である「食後高血糖」になると、血糖値が常に高い状態が続いて糖尿病を引き起こします。
③動脈硬化
血液中にブドウ糖(血糖)が多い状態である「高血糖」が続くと、血液がドロドロになって血管にストレスを与えるので、やがて動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
⑤体脂肪の蓄積
「体脂肪=脂質の摂りすぎ」と考えられがちですが、糖質をとり過ぎると、余分なブドウ糖は中性脂肪に変化して体内に蓄積されるので、体に脂肪がつきやすくなってしまいます。
糖質制限の是非
Photo by TicTac / photoAC
糖質制限は体に悪い?
ブドウ糖を必要とする脳や赤血球への影響
脳の主なエネルギー源はブドウ糖で、赤血球においてはブドウ糖が唯一のエネルギー源なので、体内のブドウ糖が不足すると脳も赤血球も働くことができなくなます。
でも、食事によって糖質が取れなくても、人体に備わった「糖新生」という機能が働いて肝臓でブドウ糖を作り出すことができるので、タンパク質や脂質をきちんと食べていれば十分な量のブドウ糖が確保できるといわれています。
正しい糖質制限は?
正しい糖質制限は、糖質の多い食品を抜くだけではなく、糖質を抜いた分だけタンパク質と脂質の摂取量を増やすことです。
タンパク質をしっかり摂ろう
タンパク質を過剰に摂取すると、腎機能に悪影響があると言われてきましたが、タンパク質の摂りすぎが腎機能の悪化につながるという医学的な根拠が乏しいいことから、2015年以降の「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)では、タンパク質の摂取上限量は設定されていません。
それよりも、摂取するタンパク質の種類が偏らないように、必須アミノ酸を多く含む「動物性タンパク質」と低脂肪で低カロリーな「植物性タンパク質」をバランス良く摂ることが大切です。
脂質は過剰摂取にならないように
脂質についても、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」では、食事中のコレステロールについての上限値を設けていません。
ただ、脂質の過剰な摂りすぎはコレステロールを上昇させて「脂質異常症」を引き起こし、動脈硬化を進行させてしまうリスクがあるので、肉や魚などの質の良い脂肪をバランスよく適度な量を摂るようにしましょう。
水分補給をしっかりと
体内の糖質(グルコース)は、1gあたり約3gの水分を含んでいます。
糖質制限を実践すると、体内の糖質が少なくなるのに比例して体内の水分量も少なくなってしまうので、意識してしっかりと水分補給を心がけるようにしましょう。
また、アルコールを飲む人は、アルコールの分解に水分を必要とするので、脱水症状にならないように気を付ける必要があります。
糖質制限の効果は?
血糖値の急上昇を抑える
血糖値を上昇させる原因は糖質の摂取なので、糖質を制限することで血糖値の急上昇はもちろんのこと、急上昇した血糖値を下げるためのインスリンの分泌も抑えることができます。
糖尿病や動脈硬化を防ぐ
糖質を制限すると、血糖値の急上昇や慢性的な高血糖を防ぐことができるので、糖尿病や動脈硬化を予防することができます。
肥満を改善する
中性脂肪の蓄積や肥満は「脂肪」の過剰摂取によるものと思われがちですが、そのほとんどは糖質(=炭水化物)の過剰摂取によって、余分なブドウ糖が中性脂肪に変化して体内に蓄積されるためです。
糖質を制限すると、体内で不足したブドウ糖を補うため、蓄積されている中性脂肪や体脂肪を分解して「ケトン体」と呼ばれるエネルギー源を生成して利用するので、体脂肪の減少が期待されます。
筋肉の減少を抑える
食事制限を伴うダイエットでは、カロリー不足によって筋肉の減少が心配になります。
体重が減っても、筋肉量が減っては健康的なダイエットにはならず、基礎代謝の低下や体の不調に悩まされることになりかねません。
この点、糖質制限を正しく行うことで、摂取する糖質を控えながらも筋肉を作るタンパク質を多く摂るようになるので、カロリーもしっかりと確保することができ、筋肉量の減少を抑えることができます。
糖質制限の注意点
カロリー不足にならないように
糖質制限を始めると、食事の摂取量を減らしてしまいがちです。
でも、糖質を減らした分、タンパク質などを多く摂って1日に必要なエネルギーを確保しないと、逆に不健康な体になってしまいます。
糖質制限を始めたら、必ずタンパク質や脂質などをきちんと摂取するようにしましょう。
食物繊維が不足しないように
炭水化物は糖質と食物繊維からなっているので、糖質制限を始めると炭水化物の摂取が減り、結果的に食物繊維が不足してしまいます。
なので、糖質の少ない食物繊維(海藻類・豆類・こんにゃくなど)をしっかりと摂取するようにしましょう。
めまいや便秘などの体調不良
これまで摂取していた糖質の量を減らすと、めまいや倦怠感をはじめ便秘や下痢などの症状が出る場合があります。
これは、多くは食生活の変化による一時的なものなので、正しい糖質制限を行っていけば体調不良も改善されていきます。
ただし無理をせず、体調不良が酷いようなら糖質の制限を緩やかにして、様子を見るようにしましょう。
ロカボの糖質制限
Photo by Fast&Slow / PIXTA
ロカボは、糖質の摂取を極限まで減らす糖質制限ではなく「おいしく楽しく適正糖質」をモットーに、日常の生活に負担の少ない緩やかな糖質制限を提唱しています。
糖質の摂取量
ロカボでは、糖質の摂取量を「1食あたり20~40g(1日あたり70~130g)」以内になるよう提唱しています。
その他の摂取量
ロカボは、食事のカロリーを制限するのではなく「日常的に摂りすぎている過剰な糖質」を制限するものなので、糖質の摂取量のみを意識していれば、肉や魚などのタンパク質や脂質などの量は気にすることなくお腹いっぱい食べることができます。
ロカボの効果
- 体重の改善
- 血糖値の改善
- 高脂血症の改善
- 血圧の改善
ロカボの注意点
ロカボも含めて糖質制限をする場合、その分タンパク質や脂質をしっかりと摂取しないと、めまいや倦怠感などを引き起こし体調を悪くしてしまうことがあります。
これらの多くは、糖質を制限したことによるカロリー不足が原因なので、ご飯やパンなどの糖質の多い食品を減らした分だけ、他のおかず(タンパク質・脂質・食物繊維)を多く食べて、一日に必要なカロリーと栄養素は確保するようにしましょう。
ロカボ商品
ロカボでは、スーパーやコンビニなどで販売されている、糖質を抑えた(糖質がカットされた)様々な食品が紹介されています。
- 白米(炊飯パック)
- パン(ブラン食パン・ブランブレッド)
- 麺(うどん・パスタなど)
- 加工食品(ロースハム・ウインナーなど)
- レトルト食品(ドリア・リゾット・カレー・パスタ・スープなど)
- 卵(ゆで卵)
- シリアル(グラノーラ・フレークなど)
- 調味料(おつゆ・ポン酢・ケチャップ・すき焼きのたれなど)
- お菓子(クッキー・チョコ・飴など)
- デザート(シュークリーム・プリン・ワッフル・ドーナツ・シロップなど)
- アイスクリーム(ソフトクリーム・カップアイス)
- おつまみ(ミックスナッツ・アーモンド・ピーナッツなど)
まとめ
いかがでしたか?
糖質制限は、あくあで糖質の摂取のみを制限するので、ダイエット目的で糖質制限をする場合でも、お腹いっぱい食べることができ食べ物の制約も少ないので、ダイエット中のストレスも少なくて済みます。
そして何より、私たちが日常で過剰に摂取している糖質を制限することは、病気の予防にもなり健康的な体を維持することにつながります。
みなさんも食生活にロカボを取り入れて、無理のない低糖質ライフを実践してみてはいかがでしょうか。